ワンちゃんが留守番のたびに吠え続けたり、家具を壊したり、トイレを失敗してしまったり。
その原因は実は「分離不安」が関係している場合があります。
分離不安とは、犬が飼い主さまと離れることに対して強い不安やストレスを感じ、その結果としてさまざまな問題行動が現れる状態です。
今回は分離不安とは何か、また分離不安の治し方について解説します。
分離不安とは
分離不安とは、犬が特定の人(多くは飼い主さま)と離れることに対して過度な不安を感じる状態を指します。
単に甘えん坊、お留守番が苦手、というわけではなく、不安が非常に強く、犬自身が大きなストレスを抱えてしまうことが特徴です。
飼い主さまが外出すると落ち着いて過ごせず、不安からさまざまな行動が現れるようになります。
よくみられる症状
分離不安では、以下のような行動がみられることがあります。
・お留守番中に長時間吠え続ける
・遠吠えや鳴き続ける
・ドアや窓を引っかく
・家具や壁などを破壊する
・トイレ以外で排泄してしまう
・家の中を落ち着きなく歩き回る
・よだれが大量に出る、パンティング(激しい呼吸)が続く
・飼い主さまが外出の準備を始めるだけで不安そうになる
もちろん、これらの行動があるからといって必ず分離不安とは限りません。
例えば、運動不足や退屈、若齢犬によくみられるいたずら、体調不良などが原因となることもあります。
そのため、問題行動だけを見るのではなく、行動が起こるタイミングや状況を確認することが大切です。
お留守番が苦手な犬との違い
先ほどの例を見ると、お留守番が苦手な状態と分離不安は似ていますが、必ずしも同じではありません。
お留守番が苦手な犬でも、飼い主さまが外出した直後に少し鳴いたり落ち着かない様子を見せたりすることはあります。しかし、その後は眠ったり、おもちゃで遊んだりして落ち着いて過ごせることが多くあります。
一方で、分離不安の犬では、飼い主さまが外出して数分以内から吠える、鳴き続ける、破壊行動を行うなどのストレス行動が始まることが多いとされています。また、そのような状態が数十分から数時間続き、飼い主さまが帰宅するまでほとんど休めない犬もいます。
お留守番中の様子をペットカメラなどで確認すると、不安が続いているのか、それとも落ち着いて過ごせているのかを判断する手がかりになります。
放っておくとどうなる?
分離不安は、時間が経てば自然に治るとは限りません。
不安が繰り返されることで症状が悪化し、破壊行動や吠えが増えたり、お留守番そのものがますます難しくなったりすることがあります。
また、犬自身にとっても強いストレスが続くため、生活の質(QOL)の低下にもつながる可能性があります。
早めに原因を理解し、適切な対応を始めることが大切です。
研究で効果が示されたトレーニング方法
では、分離不安はどのように改善すればよいのでしょうか。
分離不安の改善方法として多くの研究で支持されているのが、「系統的脱感作」というトレーニング方法です。
2011年に発表された研究では、分離不安を示す犬を対象に系統的脱感作によるトレーニングの効果が検証されました。
その結果、多くの犬で問題行動が改善し、3か月後に経過を確認できた犬では、多くのケースで問題行動がほぼ消失するまで改善しました。
論文はこちら:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0168159110002923
系統的脱感作とは、不安を感じない範囲から少しずつ刺激に慣らしていくトレーニング方法です。
例えば、
・立ち上がる
・靴を履く
・鍵を持つ
・玄関のドアに手をかける
・ドアを開ける
・数秒だけ外に出る
といったように、犬が不安を感じ始める一歩手前で戻ることを繰り返しながら、少しずつ外出時間を延ばしていきます。
重要なのは、犬が吠え始めてから我慢させるのではなく、犬が不安になる前の段階で練習を終え、犬が不安にならない状態で成功体験を積み重ねることです。
犬がリラックスしたまま外出の準備や短時間のお留守番を経験することで、「飼い主さまが出かけても大丈夫」という経験を少しずつ学習していきます。
焦って進めると逆効果になることも
一方、トレーニングを行う中で、犬が不安になる時間を超えてしまうと、吠える、鳴き続ける、破壊行動をするといった強いストレス反応が起こります。
その状態を何度も繰り返すと、不安が強化され、改善までに時間がかかってしまうことがあります。
そのため、重要なのは犬が吠え始めてから我慢させることではなく、ストレス反応が起こる前にトレーニングを終えることです。
犬の様子を見ながら、まだ余裕がある、という範囲で少しずつ成功を積み重ねていくことが、改善への近道になります。
おやつだけでは改善しないことも
留守番前におやつやおもちゃを与える方法はよく紹介されています。
これらが役立つ犬もいますが、研究では、分離不安そのものを改善するためには系統的脱感作を中心としたトレーニングが重要であることが示されています。
おやつやおもちゃは補助的な役割であり、不安の原因そのものを解決するものではありません。
パウ東京では分離不安のトレーニングをご相談いただけます
パウ東京では、ワンちゃんの年齢や性格、飼い主さまのライフスタイルに合わせて、最適なトレーニング頻度をご提案しています。
例えば、
・飼い主さまと愛犬が一緒に学ぶドッグトレーニング
・飼い主さまがお出かけの間にトレーニングとお世話
など、ご希望の頻度に合わせてご利用いただけます。
毎日無理に頑張るのではなく、ワンちゃんに合ったペースで少しずつ積み重ねることが、結果的に近道になるかもしれません。
「トレーニングを始めたいけれど、何から始めればいいか分からない」「愛犬に合ったトレーニング方法を知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。




